Can Not Be Learned From Textbooks.
- 消えそうな町の廃校。
そこを舞台にくらて学園の挑戦は
スタートしました。
「学校」というビックスケールな舞台で、
何を演じ、どれだけ観客を集められるのか。
そんな懸念は「くらて学園」に携わる
一人一
人の演者によって、
シナリオが書かれ、
演出されることによって
様々なカタチとな
り、想像を超えて払拭されてきました。
「学校」を自由に活用できるという
ワクワク感は、
アイディアを生み、
いくつもの相乗効果をもたらし、
「鞍手町のくらて学園」が全国、
そして海外に知られるようにもなりました。
くらて学園には熱量があります。
夢をカタチにする魅力があります。
そしてたくさんの物語があります。
教科のご紹介
-
「宝箱みたい」。くらて学園のはじまりは、そう言えるかもしれません。
宝箱、それの最初はただの空っぽの箱です。そこに自分にとって大切なモノ、好きなモノ、手放したくないモノを詰め込んでいくことで、とても貴重で譲れないものへと存在価値を高めていきます。そして詰め込んでいくコトそのものが、とてもワクワクしてかけがえのない瞬間となります。
くらて学園は、「廃校」という空っぽのままの宝箱としてスタートしました。そこには電気も水道も通っていません。消えゆくかもしれないという危機に面した町の廃校を活用するという事が、くらて学園の目標となりました。
2015年、廃校となった中学校をどうにかして欲しいという相談を受け、企画を練り、未来図を描き、それを現実化する行動をしていくというミッションを得たのです。まさに宝箱をいっぱいにしていくためのミッションです。
舞台となる鞍手町は、かつて石炭産業で栄えたものの時代とともに人口が減少。約10年前には消滅可能性都市ワーストランキングで福岡県1位となり、特に「女性が少なくなる町」とも表現されました。そんな鞍手町で廃校となった中学校を活用するために立てた企画第一号は「コスプレイベント」でした。町からの支援はゼロ、地元関係各所からは99%反対という逆風の中での開催となりました。
いざ当日。イベント開始1時間前頃から、200人近いキャリーケースを引いたコスプレイヤーの女性たちが続々と廃校へと集まり始めたのです。「女性がいない」とはまるで逆の光景が広がったのでした。この日、イベントには250人もの人々が全国各地から集まり大盛況。想像以上の反響に感動するばかりです。
水道も電気もない廃校にこんなにも人が集まったのは、当時日本ではここだけが公式に『学校』を背景として撮影およびイベントに使えたからでした。
『学校』というリアルなアイテムが、最大の強みとなって力を発揮するということを改めて教えてくれたのです。
-
くらて学園の事業継続に向けて、まずは3年計画で収益化を目指していました。ところが初回イベントの大成功に続き、数回のイベントを重ねるにつれて参加者も増え黒字化できたのです。その後、内閣府の交付金公募にチャレンジし採用されたことでまとまった資金を得ることができました。その中から電気、水道の整備に手を付けることができたため、継続的な廃校活用の可能性が広がります。
次なるアクションは「テナント入居者」を募ること。この廃校が元中学校だったことで、階段やトイレといった規格が大人にも使いやすいサイズだったことも幸いし、入居者にとっても過ごしやすさにつながったようです。
「ものづくり」の会社を中心に入居がスタートしました。家賃コストが抑えられスペースがたっぷり取れる「教室」は、ものづくりにも適していて費用対効果も良いという満足の声をいただきました。さらには、テレビ番組、CM、映画などの撮影場所としても認知され利用されるようになり活気が出てくるとともに、撮影に伴って内装などを手直しされることで少しずつ校舎も明るくキレイになっていったのでした。
1年目、2年目と順調に進んでいったくらて学園。そこに影を落としたのがコロナ禍というパンデミックでした。約4年の間イベント開催もままならず終わりの見えない日々。
先を見越して、イベント主体の運営からテナント主体へとシフトチェンジすることに決めす。校舎1階だけだったテナント部分を1~3階をテナント利用できるように拡大したのです。現在は約20社がテナントとして入居されるまでになりました。
-
くらて学園の事業運営にあたって一つ嬉しい誤算がありました。それは、こちらから提供提案する利用イメージを超えて、想像以上の活用方法や価値を利用者の方が見出してくださるという事。
私たちは「学園内の校舎も教室もグラウンドも屋上も全て活用できます」という点をメリットとして提案しているのですが、「学校」というスポットがどんなに魅力的で、それを求めている方がいるのかということを知ったのです。
高さに制限のない広々としたグラウンド、室内でも広さと高さを得られる体育館、30mもある廊下、そんなスポットを必要な時だけ使用できることが、撮影やイベントやそれぞれの事業にとって理想をカタチにする場所として有効だったのです。
またワクワクなことに、テナント入居者の方たちが実行委員としてくらて学園を盛り上げてくださったり、イベントの実施にあたっては専門技術を提供してコラボしたりといった協力関係が自然と生まれています。
そこにビジネスチャンスが生まれ、シナジーが起こり、活気があふれるというプラスサイクルの光が見え始めました。
一番初めのイベント開催の時からSNSを主軸とした告知を行ってきました。イベントジャンルに興味のあるコアな層に届きやすく、情報を求めてリサーチしている人々への効率的な告知ができたことも、くらて学園好スタートの要因でした。
コスプレイベントでは、参加したコスプレイヤーの方の何万人、何十万人という自身のフォロワーへ向けた投稿が話題となり次へとつながった実績もあります。不定期のイベントも同様で時にはキパオーバー気味になったことも。
想像を超える結果になることも、くらて学園ならではの化学反応なのかもしれません。
-
鞍手町の廃校活用、人口減少対策といった地域の課題解決が使命でもあるくらて学園。イベント利用、撮影利用を通じて集客し、町に人が集まり、鞍手町を知ってもらうという目標には近づくことが出来ますが、これらはまだまだ単発的で一過性のものです。私たちは、大きな目標として「鞍手町への移住者を迎える」ことを未来図として描いています。ですがそのためには、そこに「仕事」がないと実現は難しく現実的ではないと考えます。
くらて学園のテナント入居者募集は、まずその一歩です。広い町でもなく、小さな教室というスペースではありますが、だからこそ入居される会社や起業家の方にとって居心地が良く、好条件になっている面も大いにあります。
それぞれの専門分野でオンリーワンの事業遂行が可能なくらて学園。ここにしかないビジネスモデルの実現と仕事や雇用の創出が、大きな未来へとつながっていると信じています。逆風から始まったくらて学園も、今では地域の方々との交流も多くなり様々なカタチで足を運んでいただけるようになりました。マルシェイベントでは地域の方の来場がとても多く、近隣幼稚園の運動会にも利用されています。子どもたちがたくさん利用してくれることは特に大切にしたいと思っています。子どもの頃行った場所や、体験はいつまでも故郷の想い出として胸に残るからです。
今では廃校となったこの中学校の卒業生の方が地域にはたくさんいらっしゃいます。くらて学園にはテナントとしてカフェが入っていて、地域の卒業生の方々が母校に足を運ぶ「大儀」としてカフェでくつろぐというきっかけにもなっているようです。皆さま一様に「懐かしい」と母校でのひと時を楽しまれています。かつて学生たちのにぎやかな声で満ちていた学校が、今再び地域の方々の笑顔と想い出づくりの場となることは、くらて学園にとってもとても幸せなことです。
-
廃校を活用したコスプレイベントの成功、斬新なアイディアによる活用は、多くの注目を集めました。SNSを通じて配信された投稿が海外のコスプレファンに届いたり、地元テレビ局は軒並み、東京のNHKからも取材を受けました。
海外でも放送されそれを見た方からの反響があり、短期間ではありましたがカンボジアに「くらて学園」を作りたいという声が実現したこともありました。
その際も日本のくらて学園のテナントの方が、自社で保有するマンガ本を日本語の勉強に、とカンボジアに送ってくれるなど力強い協力をしてくれました。
他にも、中国や韓国のユーチューバーの方が利用したり、JAICAも九州の一つのスポットとして紹介してくれています。
個人で情報発信ができ、その情報が簡単にタイムリーに国境を超える今の時代。くらて学園プロジェクトには追い風だと感じています。